読者の声


「雁渡り」の感想です。



「鷺の墓」「雀のお宿」の武家社会と全く違う照降町の住人は皆家族という中で、照
る日もありゃあ、振る日もあらあ……と暮らす市井の人々が生き生きと表現されてい
る。
生田三喜之輔が喜三次になったいきさつが佐伯泰英のシリーズもの「居眠り磐音」こ
と大好きな板崎磐音にそっくりで、つい引き込まれ、喜三次を中心に登場人物の関係
を書き出し確認しながら、あっという間に読み終えた。
今後の展開を楽しみにしています。
また、料理好きと思える作者ならではの、文中に出てくるいろいろな食べ物や料理の
仕方などを、楽しみに読みました。


ご著書拝読いたしました。お世辞抜きにプロの仕事だと思いました。
「雀のお宿」から読みはじめ、「鷺の墓」へ戻る形になりましたが、
物語の展開に破綻はありませんし、人物の造形も申し分ない。
市之進を中心に登場人物の性格がくっきりと書き分けられていますし、
それぞれの感情のありようも十分納得がいきます。
プロの作家の作品でも、まま、?な点があるものですが、そういう翳りがありません。

この二冊を読んで、今井さんはストーリーテーラーだなあ、というのと、
連作形式なのにほのかに「ビルドゥングス・ロマン」の香りがすると感じました。

最新作の「雁渡り」については、ほのかな初々しさを卒業して、手練れの印象さえあります。
長屋住まいの江戸っ子たちの哀感が、ある出来事をめぐって掻き立てられ、
種明かしされる真相の意想外なこと、ドラマ性が高いと思います。

最後に気になった点は、各話の中での喜三次の位置づけに曖昧な印象が残ることと、
難しい江戸弁が無造作に使われていることなどが引っかかりました。
歴史物ではこれ位が普通なのでしょうが。

ともあれ、初めて読ませていただき、今井さんの筆力の確かなこと、想像力にキレがあることには、
掛け値なしに感心しました。
今後ともすばらしい物語を生み出されることを期待しています。
       
            群馬 T    (2006年9月)


「照降町自身番書役日誌雁渡り」ご出版おめでとうございます。
効率と成果が何より優先される時流のなかで、
「照降町」を舞台に喜三次・おゆき・おきぬたちの綴る人情話の清涼な美しさに幾度も癒していただきました。
練達の作品に感嘆し、絶え間ないご精進に心から敬意を表します。
            
            尾道 H  (2006年9月)


「雁渡り」一ヶ月遅れて手に入りました。
ウマイ、読ませてくれます。
言葉に作家の年輪が浮き出ています。
こんなコマーシャルはどうですか?
「癒してほしいと望んでいるあなた、絵美子長屋のある日をのぞいてみてはいかがですか」

            広島市 T   (2006年9月)


先日やっと本屋へ行き、「雁渡り」を買って読みました。
本屋に行って、言うと、早速案内してくれたところに「雀のお宿」などと一緒に並べてあり、また数冊重ねてありました。
コーナーが出来ていたのです。
前は、本の案内所でパソコンを検索して、一週間でお取り寄せ出来ますと言われたのに、大違いです。
なんだか嬉しかったです。

絵美子ワールドとあなたの言う世界に数時間浸りました。
読後感の人間を、人間の生きざまの切なさ、悲しさ、意外な出来事、人それぞれの想いの深さ、
複雑な情の絡み合い、すれ違いなど、いろいろあること全部引っくるめて、
そうだよねえ〜〜、人生って、と納得するような気持になる。

OKじゃないんだけど、生活していくって、こういうことなんだ……って思います。(まだ言葉が足りないけど)
また次が発売されるとき、連絡下さいね。
楽しみにしています。

            福山市 M  (2006年9月)