読者の声


「暮れがたき」の感想です。


『暮れがたき』を読み終わりました。

ひぐらし店で生活する人たちの息遣いが伝わってくような本の内容です。
貧しいながらも皆で助け合いながら生きていく様は現代の社会に一番欠けている部分で、
私たちの孫・曾孫の日本にこのような社会が復活することを期待したいと思っています。

「梅雨の子別れ」
私は助六親子の別れの場面に胸にジンと来るものがありました。
助六のせつない思いを十二歳の甚太が分かろうはずもなく、

別れのときも助六が甚太にわざと冷たくするさまは、読んでいるほうも泣けてくるような感じです。
「ちゃん、どこへいくんだ!嫌だ、置いてっちゃ嫌だ。

おいらも連れてってくれ!」
甚太は全速力で路地口に駈けて行くと、助六の腰にしがみついた。

「煩ェ!放しャあがれ!」
助六がその手を振り解こうとする。
「嫌だ嫌だ・・・・。おいらも行く。(略)」
「煩ェ!放せ。俺ャよ、もうおめえの面倒を見たァかねえんだ。おめえが邪魔なんだよ!」
(略)
「あの男には、こうするより子別れができなかったんだろうて。
獅子は千尋の谷に子を突き落とすというからな」

このくだりには涙が出そうなほどです。
甚太の育ての親として苦楽をともにしてきた助六は将来の甚太のことを思い生みの親に甚太を渡したが、
菊丸の忘れ形見として育てていきたかったのに途中で投げ出すようで、

菊丸へのすまない思いも含まれて甚太へ冷たくしたかと推測します。
日下部紗影が無事に夫を見つけられるのか?
シロはどうしてどうしてひぐらし店に戻ってきてしまったのか?

その後の甚太は、助六はどうしているか?朝寝坊寝っぱなしは自覚を持ち始めたようだが二ツ目から真打に昇格できるのか?
ひぐらし店の住人がこれからもいろいろな話題を提供しながら物語が展開していくと思います。

楽しみに第二弾をお待ちしています。

では、ひぐらし店の人たちによろしくお伝えください。