読者の声


「美作の風」の感想です。


> 「美作の風」読みました。
> 小説ではなく、一編の映画を見たあとのようなリアルな感覚が、今も私の中に残っています。
> 何か映像的なものを感じました。
>
> 特にラストの、圭吾が美作を再び訪れるシーンは、あざやかに私の心に残りました。
> この作品は映画化される前に、すでに読者を映像の世界に誘っているようです。
>
> 物語の全体については、激しいカタストロフィと静かなパッションに満ちていますが、
それにもかかわらず、何かなつかしいイタリア映画のような詩情を感じるのです。
>
> それにしてもこの国は、いつまでも変わらない国ですね。
> 100年以上前の農民一揆から、40年程前の連合赤軍事件まで、
> 常に権力者に反逆する者は容赦なく抹殺される運命にありました。
>
> 貧しい普通の国民の手に、権力を奪回する日は永遠に訪れないのでしょうか。
> ついぐちっぽくなりましたが、何かやるせない気がしてなりません。

これは贅沢な願いかもしれませんが、何かもう少し貧しい農民や市民にとっての、
未来への希望を強調するような内容があればと思いました。
>
 つい個人的な、勝手なことを書き連ねてしまいましたが、テーマとしては非常に面白く、
> 内容的にも破綻のない、刺激的な力作だと思います。
> ぬるま湯に浸ったような、この国の文学界に、これからも刺激と
> パッションを与えてくださるよう、いっそうのご活躍を期待します。
>
> 大西英二


Sunday, September 07, 2008 8:37 AM
Subject: 素晴らしい,美作の風。


今井様

 

 さて、(美作の風)素晴らしいですね、自分自身読書家で有りませんが、
今回程内容すべてに魅了された事は初めてかも知れませんね、
年齢的に、今の社会的に、又日本人の純粋な生き方が、
そしてベ−スにある 家への考え方が 時を超えダブルからかもしれませんね、

(苦難の風に立つとき人の生命はどこまでも輝く) 作家 細谷正充氏
の言葉どうりですね、又彼が述べる様に本書を読まずして作家 今井絵美子氏は語れない、そのとうりと思いました。

 今井作品には、人間の まさにりんとした生き方の人物が登場し、清らかな 美しいさ感じます。
作品は真実の重さも加わり、今まで以上に 城下の武士のロマンに、
農民の熱き思い、そして妻たちの心の内が理解できました。

 ぼくの 小さな願いですが 圭吾と美音の寝室の描写
がより具体的成れば、読者として、男性として、
強いインパクトが感じられる思いがします。

  理由は 圭吾と美音が厳しい母の反対に合いながらも、
圭吾の強い意志で結ばれた、為逆に期待してしまいます。
それは 小さな事です。

本当に 今井さんが 大作と
いわれるのが200% 理解できました。

 今後も 今井作品に心から 期待してます。そしていつの日
か 僕の故郷 平戸市 的山大島の 江戸の町並みの作品お願いします。
まさに 江戸時代が残る 離島の港町です。

  http://www.denken.gr.jp/
参考まで 国の指定のHP 添付します。
   
 別売りの雑誌は 本屋に有りませんでしたので 出版社に
メイルしました。 又 さようなら。


> 今井絵美子様

> ようやく爽やかな季節となりましたね。
> 遅くなりましたが、『美作の風』拝読しました。
> 力作でした。感動しました。

> 歴史上の事件を題材にする場合、往々にして
> 関連資料を咀嚼しきれないまま事件をおいかけ、

> 歴史書になってしまうケースがありますが
> この作品は藩と百姓との狭間で苦悩する人間、
> あるいは藩という組織内の抗争に翻弄される人間を見事に描き、
> 現代に通じる普遍性をもちえていると思います。

> とくに圭吾という人間は、時代小説の新しいヒーローと呼んでも
> 差し支えないほど魅力的で、

> 藩命に逆らい、苦悩の中で押し潰される危機の果てに、
> それでも生きることを選択した、というところが実に感動的です。
> 通常の時代小説では、なかなか踏み込めない

> 江戸時代の苛酷な現実を正面に見据え、
> しかも最後まで読者を惹きつけるストーリー性もしかっりしていて、
> 文字通り渾身の一冊となったと思います。

> どうもありがとうございました。
>


: Monday, September 15, 2008 12:20 PM
Subject: ご無沙汰いたしました


> ご無沙汰いたしました。呉の河本です。
>
> 9月2日のメールを頂いて直ぐに本屋さんへ行き、一日で読んでしまいました。
> 冒頭の「ふと郭公の声を・・・」からズンと引き込まれてしまって、
> 食事や寝る間も惜しくて一気に読んでしまいました。
若い頃は別として、最近本を読んでこんな思いをしたことは、あまりありません。
>
>  今井さんのお作は、「おりき」シリーズ、「照降町」シリーズ、「出入師」ものと
みんな読ませてもらっていますが、その後で、「蘇鉄の女」に出会って、
今井絵美子の知識や教養の幅の広さと豊かさに驚かされました。
(失礼!もと教師という関係に免じてお許しください)
>  
>そう感じていたところへ、今度は「美作の風」でまたまた頭をガンとやられたような気がしました。
今井絵美子の新境地かと。
今井絵美子ってどれほど大きい人なんだろうと。
>
ご本の内容についてもっともっと感想を書きたいんだけど、衝撃が大きすぎて言葉が出てきません。ゴメンネ!
>


Subject: 感動


> 美作の風、最期の章は、涙、涙、涙を流しながら読み終えました。
圭吾と美音の夫婦の生き方(於理久の生き方を上手に絡ませて・・)、徳右衛門の民衆に根ざした立派な思想、

そして草間の生き方。その周りの人達の人生はどれも時代の被害者なのですね。
その中でも、圭吾達の純粋に人間を愛する優しさと強さからくる言葉、生き方には、ただただ感動です。

本を読み終えた時の清涼感、それは、文章の美しさにもあるんですね。
あまり沢山は恵美ちゃんの作品を読んでないので、偉そうに言えないけど、私にとって、最高の傑作です。


Subject: 美作の風


お元気ですか。
「美作の風」漸く買って読みました。
千葉のソゴウの本屋にも、駅前の本屋にも稲毛の本屋にも中々入らず、
18日にまた千葉のソゴウの本屋に行きましたがなく、漸く、駅前の本屋で探しました。

ランテイェは何処にも売っていませんので買いませんでした。
あしからず。

「美作の風」は百姓一揆を扱った良い作品です。
特別力を入れて書かれているのが伝わって来るようです。
この頃、涼しくなりましたね。
あと一月ほどで残暑が終われば秋です。
秋は創作の季節です。これからも、「美作の風」のような力のこもった作品を書かれることを期待しいます。

ではまた 秀明 9・21


読後感が遅くなりゴメンナサイ。


良くお調べになられましたねえ。
私なんて、現在の金融政策にも疎く、まして江戸期はせいぜい女性のファッションなど 暮らしのことしか分かりませんのに…。

ほんとうに驚きました。
でも、ご執筆の今井さんを思い浮かべ「難しいな〜」と思っただけで、
読者としては殆どのめりこんで読みましたよ。

前半の圭吾、美音の甘美な心の往き来、御久里との葛藤〜
あたかも私もその場に居る心地になりました。

中盤の草間惣助、徳右衛門なども魅力的な男性です。
藩政や一揆のこと、ほんとうに作者の資料収集の手腕と、それを噛み砕いて書く力量に敬服、脱帽しましたよ。

終盤、草間の死、圭吾の葛藤、と、ついページをくる手が早まります。
逢坂も可哀そうな男。

安藤や久保もよく書かれてますよ。
彌次郎とおさんのエピソードに胸しめつけられました。
生きるって大変なのよねえ〜

素晴らしいご本を読ませていただき本当に有難うございます。
そして改めてオメデトウ!!


> 「美作の風」を読んで
>
> 日本の過去に一揆、と言う歴史的事実があり、それがどんな風に起こっていったかがわかりやすく描かれていました。
なんだ か、テロであれ戦争であれ食べ物と権力とで始まりがあるのは
> 変わりない気がして、人の浅はかさを思い知らされもしました。

しかたがないから・・という流れの中で事が勝手に進んでいってしまう恐ろしさも感じました。
> 美音の押し殺したような表現がよかった・・・。
>
> これでもまだ、短い気がします。もっと長く読んでいたい、と いうのが正直な感じです。
史実にある程度規制されるのだとは思いますが、フィクションイメージをもっとふくらませて物語にしていって欲しい気がします。
>
> でも、随所に絵美子カラーが出てて、読後感はやるせない気持ちは残るもののさわやかでした。
>
> ぜひ、また長編を書いて下さいね。
>
>小野満 

千葉県香取市


 一週間ほど前、感想を書いていたら、突然パソコンが切れてしまってそのままにしてました。
読んでからもう二週間以上たっているのです。何やかやで、日がたつのが早いこと早いこと。
 
で、感想ですが、人がたくさん死ぬのって気が進まないなと思いながら読みました。
でも、淡々と、というか、報告だけというか、あの表現なら、気分は、悪くならず、次へ次へと、読めました。

 権力って・組織って怖いですね。
社会に必要な人が、消されていくのが、どうしょうも無い苛立ち・悲しみ等を感じさせました。

上に立つ人の、人格が・・・。
いつの時代も、重要だとつくづく思いました。


 美作の風 感動しました。
主人公のような生き方、於里久の最後の身の処し方、美音の従順さは、ひねくれものの私には想像もつかない生き方です。
人はあそこまで従順で居られるものでしょうか?

他からの圧力そして周りの人を愛するゆえに自分をほぼ殺して、時代の波の中に生きる。

もう一度読み返してみようと思っています。
>


遅くなり大変恐縮ですが『美作の風』『星の契』涙しながら読ませていただきました。
>
> 御献本ありがとうございました。
> 素晴らしい作品ですね。
> どういう言葉で伝えていいのか分かりません。
> とにかく、感動しました。
>
> 今後のご健勝ご活躍、心よりお祈り致します。
>
>


遅くなりましたが「美作の風」、読ませていただきました。

3週間ほど前に読了してはいたのですが、作中に描かれた多くの悲劇に自分の中での整理がつかず、
感想を先延ばしにしておりました。

申し訳ございません。

読了からインターバルをおき、幾分冷静な今になって作品を振り返ると、
すべての登場人物一人ひとりに守るべき「もの」があり、
それを守らんと必死であったがために生まれた悲劇なのだなぁと実感いたします。

もちろん、その中に権力闘争やあらゆる思惑が絡んではいても、武家としては「お家」「藩」のため。
長年藩からの年貢徴収に我慢を重ねてきた百姓にとっては「家族」のためであり、

今後の自分たちの生活を支えていく上での「希望」のためであったのでしょう。


 『美作の風』は社会の弱者に光をあてた、たいへん内容の濃い作品だと思います。
>
> 芥川賞とか菊池寛賞とかがどのような基準で選ばれているのか知りませんが、
> 「山中の乱」をとりあげ登場人物の考え方・行動など細やかに記述されていて
> 読み応えのある作品でした。

 農民の重税に苦しむ日々の生活改善のために、
また農民のための桃源郷を築こうとリーダーシップをとった徳右衛門の勇気ある態度に感服しました。

また、圭吾の生き方や考え方は私の人生観と似たところがあり、共鳴して読んでおりました。
>
> しかし、考えさせられるのは、「何故、農民に重税を掛けなければいけないのか」という素朴な疑問です。
藩の運営に携わるような武士(今の役人と同じ)というのは歳入が減ってきたら租税を重く課せばよいという
短絡的な発想の持ち主が多かったのでしょうか。

過去に上杉鷹山、山田方谷、保科正之など藩政改革(財政再建)をなした偉人たちがいます。
美作の上に立つ人にこのような人がいれば山中の乱も起きなかったのではないかと考えます。
>
現在でも同じことが言えると思います。景気悪化で税収が減少しているのに、
政治家や役人たちの発想は消費税を上げればよいという考え方しかないようです。

民間の企業であれば赤字であれば、賞与など出ません。
然るに、国が赤字で困っているのに役人は賞与は出るは、天下りをして、
退職金を何度ももらい一般国民とかけ離れた生活をしています。

政治家も然りです。麻生首相にしてもパフォーマンス的な商店街など歩き回っていますが、
一着30万円もするスーツを年間何十着も作るような人に庶民の感覚など分かりはしないでしょう。
国会議員はもっと減らすべきでしょう。
>
政治家・官僚たちはもっと質素節約を旨とするような方針の人にこの日本の国を任せて行きたいと思いますが、
なかなかそのような人は出てこないでしょうね。
>
> 「美作の風」の感想になったかどうか疑問の多いところでありますが、ご容赦願います。
> このような作品を書くための下調べというのは相当なものでしょうね。
>
では、日々寒さが募る毎日ですが、健康に留意し新たな作品作りにお励みください。
>


待望の新著「美作の風」ご出版おめでとうございます。
まず、巻頭の主な登場人物表の気配りがよい。

多くの人物の登場に混迷すると、最初の表にもどって読み進めました。
シャイな読者サービス、さすがです。

次に、一揆という群衆が参加する多くのキャラクターが各々鮮やかに描出されていました。
歴史叙述では不可能に近いことで(私が最も関心を持っていた点でもありましたが)。

主人公は貴作品に通底している清雅な克己心に満ちた勇士。
脇役のキャラクター作りに感心しました。各々に個性があり、一揆全体像の中で見事に位置づけられていました。
例えば、美音の実家福島善兵衛夫婦の葛藤なども一揆の相対する図式に繋がっていく。

やがてそれら全ての人が組み込まれていく壮大なプロット……あたなに改めて並々ならぬ文才を強く覚えました。
大事に育てて下さい。

更に資料に使用された「市史」などは各々の章を各専門家論述したものが多く、
一般的とは言えませんが、良く咀嚼されていると勉強ぶりにも感心しました。

ともかく一気に読みました。貴作品を読んでおられる主治医の先生にお話しすると、
是非読んでみたいと言われていました。

とても嬉しゅうございました。
 着実にステップからジャンプされました。
拍手!!



「美作の風」読み終わりました。
江戸時代の百姓一揆は教科書日本史の中で数行で片づけられていましたね。

一揆行使後、待っている現実はいかなるものか?
残された家族のその後を思うとき、この類の読み物は怯えを抱いての読書となります。

人は自分の意思では何も選べないものがあります。
今井さんの小説の中にその時代に生きている登場人物の悲哀を強く感じました。
いろいろありますが、今の時代に生きている自分に感謝しています。



「美作の風」二度読ませていただきました。
一度目はすっと読みました。

一揆に暗さを感じさせない、悪い人がいない、
なのに百姓自身の理想郷を作る(当時、幕府の規制の中では望めない)ことに本気になった一部の人の哀しい結末と、
於里久が自害した時点で、圭吾と美音の生死もそのままハッピーエンドには済むまいと読み進むうち、
若党になった圭吾と病死した美音……。

圭吾の友人も死んだり、気がおかしくなったりと、後遺症の凄まじさが当たり前のように書かれていました。
一回目を読み出してすぐに藩主の系図、そして次ページの(主な登場人物)を見た時点で、本当にのめり込みました。

頭の中の白い画面の中で、処刑された人の名前と村名が無音で写し出される様子がありありと見え、
「予感」の部分に入ったら、すぐに登場人物が自分で話し、立ち上がって動き出しました。

二回目を読んだのは、一回目を読んだ後、
すぐに津山を中心とした地図をカレンダーの裏に書き(処刑された人数と村名、村名には地図のうえに印を付けてゆき)、
それを見ながら、また読みました。

一回目よりも一揆の発生した地域をより解ることが出来、わくわくしました。

読ませて頂きまして、有難うと言いたい気持です。