2月



Subject: すこくろ幽斎診療記
 
早春とはいえ、まだまだ寒い日が続きます。
今年は正月過ぎまで暖かかったので、一気に真冬に押しやられたような気がしますね。

わたくしのほうは相変わらずで、確実に少しずつ弱っていっている気はするのですが、
まだまだ元気ですのでご安心下さいませ。

さて、新刊案内ですが、2月11日頃「すこくろ幽斎診療記」の第八弾「泣くにはよい日和」が双葉文庫より刊行されます。
今回もさまざまな出逢いや別れがあり、哀しみの中から強く立ち上がっていく人々の生き様が
感動を呼ぶものと思っています。
ご期待下さいませ!!

そして、来月か再来月、「立場茶屋おりき」の第二十三弾「すみれ野」が刊行されます。
はっきりと三月か四月かいえないのは、わたしの手許からは離れているのですが、出版社のほうがどちらにするか決まっていないからです。
いずれにしても、もう少しお待ち下さいませ。

そして、四月には祥伝社より四人の作家で喜怒哀楽を書き分けたアンソロジーが刊行され、
わたくしは(哀)を担当して「待宵びと」を書いています。

これは「綺良のさくら」に登場する栗山大膳を取り巻く周囲の人々、
大膳の姉で堀平右衛門の妻の生き様を描いた作品です。短編ですが、じわりと胸に応える作品に上がったと思います。
また改めてお知らせしますが、頭の片隅に留めておいてもらえると嬉しいです。

これから自叙伝の執筆に入ります。
以前からわたくしの波瀾万丈の人生に、周囲の方から「今井さんの人生こそ、まさに小説」と言われていたのですが、
自叙伝を書くのは死ぬ前だと思っていたのです。

けれども、はっと気づくと、ああ、現在がそのときかと……。それで、執筆に入ることにしました。
何があろうと挫けず、目標に向かって前へ前へと歩いてきました。

現在、病を得て本来なら悲嘆に暮れるところなのでしょうが、冗談じゃない、
わたしにはまだまだ書くことがある……、とこれもわたしに与えられた使命と思い、
癌体験をプラスに換えてやろうと前向きに考えています。

二人に一人は癌にかかるし言われる現在、気持だけは決して負けないで、
と同じ病を抱えた人にエールを送りたいと思っています。

タイトルは「いつもおまえが傍にいた」  意味深なタイトルですが、これはわたくしの愛猫キャシーちゃん!!
猫と歩んだ紆余曲折の人生……読み応えのあるものに仕上げるつもりですのでご期待下さいませ!!
 
 
今井 絵美子

3月


Subject: 春ですねえ!
 
やっと春らしくなってきましたね。梅の花がすっかり膨らんで、桜が咲くのが楽しみです。
四月に入ったら、富士霊園に今井絵美子の墓が出来たので、友人たちと生前墓参かたがた花見をして、
その後湯河原の温泉に浸かってこようと思っています。
生きているうちにせいぜい愉しまなくっちゃ……。

そんなこんなで新刊案内をさせてもらいます。
3月15日、ハルキ文庫より「立場茶屋おりき」シリーズ第二十三弾「すみれ野」が刊行されます。

そして、4月11日には祥伝社文庫より「哀歌の雨」というアンソロジーが刊行され、
その中でわたしは「待宵びと」という作品を書いています。

これは「綺良のさくら」に登場した栗山大膳の姉の物語です。
黒田騒動の陰にはこんな女性もいたのだということを知っていただきたく思います。

「哀歌の雨」は喜怒哀楽をテーマとしたアンソロジーで、「哀」を受け持つのはわたしの他は岡本さとるさん、
藤原緋佐子さんです。
面白いテーマだと思いませんか?

おりきシリーズ共々宜しくお願い致します。
わたくしの体調ですが、お陰さまで元気にしていますのでご安心下さいませ。
やはり、わたしには書くことが何よりの薬なのだと思います。

先ほど自叙伝「いつもおまえが傍にいた」を書き上げたばかりです。
書きながらボロボロと涙を零し、プリントアウトして読み返し、オイオイと声を上げて泣いてしまいました。

わたしの人生、まったく以て小説でした。
 
今井 絵美子

6月


Subject: いよいよ自叙伝が刊行されます
 
皆さま、お待たせしました。
いよいよ今月11日、祥伝社より「いつもおまえが傍にいた」が刊行の運びとなりました。

術後一年とちょっと、少しずつ少しずつ体力が落ちていっているのを感じますが、
なんとか体力、気力のしっかりしている時期に刊行となったことに安堵しています。

これまでわたくしが作家を目指し不屈の精神で歩んできたこと、波瀾万丈な生き様、癌と闘う姿、
そのどれにも愛猫キャシーが絡んできて、まさにあの子がいたから励まされ頑張れた……。

そんな諸々が書かれていますので、今井絵美子をより知るためにも是非お読み下さいませ。
そして、来月8月15日には「立場茶屋おりき」第二十五弾「永遠に」がハルキ文庫より刊行されます。

10余年に亘ったおりきシリーズもこれで一応完結となります。
皆さん、おりきさんと巳之吉がどうなるのだろうかと気になさっていることでしょう。

長い間本当に有難うございました。
おりきシリーズはわたくしの分身といってもよく、これで終わりかと思うと寂しくて堪りませんが、
何事にも終わりはあるものです。

更なる出逢いを目指して、書き続けられるうちは書き続けていきたいと思いますので、
どうか引き続きご声援下さいますようお願い致します。

本当に、本当に、有難うございました。
 
今井 絵美子

9月


秋も闌というのに、まったくよく降りますねえ〜〜。
わたくしの住んでいるマンションの隣に道三川という小さな小川が流れいるのですが、
その草叢から夜になると虫の大合唱が聞こえてきます。
皆さん、雨降りの中でも虫は鳴くのだということに気づいていましたか?  
わたくしは先日そのことに気づき、虫の
健気さに胸を打たれてしまいました。
そして、わたくしはといいますと、手術後一年と四ヶ月を過ぎましたが、
少しずつ少しずつ体力が衰えながらもまだ執筆に燃えています。
余命三年と言われているので、あとどのくらい書き続けられるのか不安に思いながらも、
貪欲に一作でも多く書き残そうと思っています。

さて、ご案内なのですが、10月7日、徳間文庫より、「夢草紙人情おかんヶ茶屋」の第七段目「優しい嘘」が刊行されます。
一年振りになりますが、この度も、お蝠さんを巡るひぐらし店の面々が織り成す心温まる物語が綴られていますので
ご期待下さいませ。
そして、10月2日(日)、読売新聞の読書欄で「いつもおまえが傍にいた」が取り上げられます。
特別なことがない限り、この日に掲載されるそうですので是非、是非、お読み下さいませ!!

わたくし自身、どんなことが書かれているのかわくわくしながら待っています。
そうして、これからのことなのですが、いよいよ念願だった現代物「芦田川」の執筆に入ります。
これは昭和の高度成長期の福山を舞台に、芦田川沿いに生きる母、姉妹の愛憎物語です。
今井絵美子といえば時代小説作家と思われていますが、時代小説のように人情ものではなく、
人間持つ、憎しみ、嫉妬、欲望などの嫌らしい部分を思い切り描いてみようと思っています。
人は誰しも良き部分と悪しき部分を持ち合わせているものです。
ことに、肉親てあれば避けようもなく、切なく哀しいものです。
それを、時代小説では書けなかった部分として、書いておきたいと思っているのです。
刊行は来年になるかと思いますが、ご期待下さいませ!!
そんなわけで、生きている限り今後もせっせと書き続けますので、これからもご声援下さいますようお願い致します。
 
今井 絵美子

12月


Subject: 年末のご挨拶
 
今年もあと僅か……。
昨年の五月末に余命三年の宣告を受けて乳癌の手術を受け、一年半。
はやくも半分の時が過ぎようとしています。

現在の心境は、なんとか生き延びてこられたという想いと、徐々に弱りつつある身体に、
あと半分このまま元気に書き続けてけるだろうかという想いで一杯です。

けれども、まだまだ大丈夫です。百冊刊行を目標に、これからもせっせと書き続けていくつもりです。
さて、12月25日頃、角川文庫より「髪ゆい猫字屋繁盛記」の第七弾「紅い月」が刊行されますのでお知らせ致します。

今回は照降町自身番の書役をしていた喜三次が、いよいよ書役を辞して女房のおゆきの家業を継いで魚竹に入ることに……。
そして猫字屋のおたみを中心とした照降町の面々にもさまざまな展開が……。

今回も人情味に溢れた、ほのぼのとした物語になりました。どうかご期待下さいますようお願い致します。
2017年もこの調子で頑張りますので、どうか引き続きご声援下さいますようお願い致します。

どうか皆さま、元気でよいお年をお迎え下さいませ!!
 
今井 絵美子