シチリア−04アグリジェント



遠い昔、ギリシャ人達は海からやって来た。
そして、輝く海を見下ろす、光に満ちたこの谷に多くの、それは壮大な神殿を建てた。
長い時の流れの中で神殿は、破壊し、破壊され、巨大な石像も既にほとんど残っていない。

光と風は、「神殿の谷」と呼ばれるこの静かな一帯に当時と変わりなく満ちてはいるが、
ロウソクと松明が煌めき、馬車や子供や、民衆のざわめきで賑わったであろうメインストリートは、
初冬の静けさに制圧されていた。

僕らは、その年の初めての雨が氷雨にならなければいいな、と秘かに祈りながら、
もう2500年は立ち尽して来たそれらの間を巡っていた。


コンコルディア神殿。
修復中。大きなパネルの絵がユニーク。
これだけ立派なものだったという事実。
ヘラクレス神殿。
8本残った太い柱の向こうには、青い海と、低くたれ込めた雲が見えた。
海からこの神殿を眺めたギリシャ人は、恋人や家族に手を振ったのだろうか。
ゼウス神殿。
壮大なる瓦礫の山。これだけのものをどうやって持ち上げたのか。
昔の人は偉かった。
屋根を支えていたアトラス像が横たわる。高さ8m。
その像を含む復元模型。
この神殿の高さを想像してください。
神殿の基盤の向こうにゴチャゴチャと重なる現代の街並。
淋しくて猥雑で、貧相な営み。
考古学博物館にて、歴史の断片、文明の証しをスナップして行く。