「並べる、飾る、配置する、放っておく・・・いっそ気にしない」
 ラテンの国と陰と陽。


1=俺もよ、だいぶシケた身体だけどよ、お前もそんなに昔の思い出に
縛られてないで、どうだい、もう一度俺と一緒に人生やり直さないか?
(ミラノにて)
2=戦後の機械のシンボル、それは革命的なスクータ・ヴェスパと、
手回しのハム切りマシン。
(パルマにて)
3=坂道を登り詰めると人気の無い路地に、
赤い2輪と4輪がヒッソリと対話していた。
(シチリアにて)
4=スーパーでの隠し撮り。カボチャは食べるためでは無く、
装飾用として作られ、飾られ、そしてゆっくりと腐って行く。
5=誰が買うんだろう、こんなもの。
儲けが出るのか心配になる。
(アンティーク市で)
6=遺跡を再現した様な陳列。ワインのビンまでわざわざ置いてある。
しかし、もし買っても、この大きさの物をどうやって家まで運ぶのか?
(アンティーク市で)
7=3星ホテルの朝食、その諸行無常。
この断片の残り方には、「侘び寂び」と言うか、
禅の庭の飛び石的遊び心を思い起こさせる絶妙な配列であった。
余りに完璧なので食べるのを諦めた。
(ペーザロにて)
8=当然のごとく、紙コップで飲む飲み物コーナも殺伐としている。
朝遅く起きた自分が悪いのだが、こういう風景をみると、
ああ、やはりここはラテン圏なんだな、と思う。
今日は良いことがありそうだ。
(ペーザロにて)
9=ミラノ北の小さな沼に面したレストランへ昼食のためにだけ片道80kmを出かける。
季節外れの寒い沼と、その向こうにアルプスが望めるテーブルでいろいろ味わう。
10=イタリア料理に見る装飾研究の連作。
(これ等は、決して「間工房飲み会映像」に対しての報復攻撃ではありません。)
川スズキに豆を一緒に飾り、柿のソースをかけた前菜。期待は高まる。
銀河系を再現したデザイン。
11=イワナのミンチをバルサミコ酢浸けのパンで挟んだもの。
それにオニオンリング。ソースはマスタード等。
   皿の色に気を使ってオニオンを目立たせ、放射状の構図で視線を絞ることにしている。
12=ほとんどソバに近いパスタ。
薫製した川魚の塩が強すぎて残念。
料理作る人は引き算ができないとね。
素朴な素材を「飾り付けないように飾り付けた」構成。結構難しい。
色即是空、空即是色の心。
13=ウナギのグリル。
コゲ過ぎだが、色としてはニンジンの細切りとか、シソの緑とかが欲しい。
   味としては、ウナギは蒲焼きがベストなのを確認。
アー、うな丼食いてー!
14=「デザートを適当に」と言ったら13種類出て来た。
これはその第一弾。
チョコやクリームに頼りすぎた構成は一考すべしだが、プレゼンテーションは悪くない。
砂糖をいかにオシャレに出すのか・・・考えたんだろなー。
15=その翌日、今度はミラノ西の丘陵地帯のレストランへ。
皿はジノリの白。
このリゾットはベーコンのカリカリ感がピッタリで、感心した。
なかなかセンスあるので、この後の展開が楽しみになる。
16=「シェフは私の妻で、地元オリジナルレシピの、ヒレ肉、塩の華乗せ蒸気蒸しが絶対!」
とオーナーが言うのでお任せ。
 微妙な味で驚き。色の配置もかわいい。
17=牛の腎臓には参った。
内蔵をこうやってレベル高く昇華させるのは料理文化の象徴だ。
地元のフルボディの赤で喉を洗って行く至福なひととき。
18=ジェラート。
三色を押さえた彩りは見事。
食べる前に目で楽しくさせるのは日本料理の基本だが、随分と影響を受けたようだ。
19=ミルフィーユの一種。苦いチョコが主役。
縦にかかっているのは地元の蜂蜜。書道的な飾り付け。
何故か花札の「雨、5点札」を連想した。