メンバーと作品紹介と講評
Aグループ
T・Kakuta |
難しい蓋物に挑戦してもらった。
平らな蓋をとるのに、最初、中央部がさがってなかなかうまくいかなかった。
しかし後半になって、まだ、合わせ目の所に少し難があるがほぼ完璧にできあがるようになった。
絵付けも目を見張るほど上達して、作品としての密度を上げることができた。
今後は、コンプレッサーワークとの関係を習得して、さらに上を目指して欲しい。
H・Kakuta |
早くからろくろびきの正確さに注目していたので、初めて本格的に磁器での壷の制作に
取り掛かってもらった。さすがに途中、土があがらなくて悩んでいたようだが、
がまんして練習し続けた結果、壁を越えた。装飾のイッチンは、縦方向に流れやすいので、
液の濃さに細心の注意が必要だった。
ここでこの人独自の調合を手に入れたようだ。
仕上がりは清潔感があり、高度な技術を感じさせる作品となった。
Kosikawa |
展覧会に向かって、大きく技術的な進歩を遂げることができた。
ろくろをひく土の扱いに、自信が出てきたようである。
今後は微妙なゆれをなくし、 ねらった形に持っていけるような
精度のあるろくろびきが必要になってくるだろう。
装飾は、シンプルなだけに難しい、土ものらしい鉄絵をベースに上絵の赤を味として使ったもの。
なかなか感じのよい、食器としても使える大皿ができあがった。
Tobe |
磁器制作に取り組んで、これほど亀裂の入るのに悩まなかった人も珍しい。
それだけしっかりした技術の積み上げがあったのだろう。
きわめて難しい、磁器の皿の縁に線を引く、という課題も傍目には難なくこなした感がある。
しかし、ろくろびきした皿は4,50枚になるのではないか?
その集中力には感服する。
今後はさらに難易度の高いものに挑戦していって欲しい。
Takahashi |
とにかくくじけずによく頑張ったと思う。
一番数を作ったのではないか?
蓋付きの揃い物は、思うほど簡単ではない。
しかも、仁清土という亀裂の入りやすい土を使って、取り組んだのだからなおさらである。
ろくろびきに精度が出始めた頃から作品がとれるようになった。
京焼き風の絵付けは、赤を一度焼き付け、さらに絵を描いて焼く。
優雅な雰囲気と高級感が漂う作品になった。
Masuda |
木を燃やして灰を作る、というところからやってもらった。
夏前の暑い日にかなりの量の灰を作り、時間をかけてあく抜きをしてきた。
他に何種類かの灰をテストし、釉薬として使えるように調整した。
何度も試し焼きをしながら、変更を加える作業は時間がいくらあっても足りない感じだ。
スタッフ共々、勉強になった。
作品は、変則的なろくろの使い方で、ひいたものを裂いて長皿にする。これが、
やってみると思ったよりも難しい作業になった。
しかし、独特な灰釉の色と調和して魅力ある作品に仕上がった。
Bグループ
Iida |
徐々に土を増やしながら、土を上へ、上へ・・。
大きな壷をろくろで作ることは、自己への飽くなき挑戦。
とりあえず今回はここまで。
夏の特訓以降、筒がゆれずに正確にあがるようになってきてから、大きさが増してきた。
土を上げるこつをつかみかけてきたようだ。あとは練習あるのみ。
装飾は、豪快な釉薬と金彩の組み合わせ。
引き締まった感じの作品に仕上がった。
Kitani |
小型の食器で、と思ってスケジュールをこなしてきたが、
夏以降の上達ペースが早く、大型の食器に切り替えた。
かなりの数、亀裂が走ったが、ろくろで仕上げる速度がそれを上回った。
結果的にかなりの数の作品を焼き上げることができた。
染め付けのうまさが見事に作品に生きた仕上がりとなった。
今後はいろいろな形の作品に挑戦していってもらいたい。
Sugasawa |
手間の掛かる作業をよくこなしたと思う。
象嵌は半乾燥の時に仕事を進めなくてはならない。
かなり細かい模様を取り上げたことで、一つ仕上げるのにだいぶ時間がかかる。
しかも、これが必ず焼き上がるとは限らないので、そのストレスはたいへんなものである。
実際、乾燥までに切れた皿もたくさんあった。
それにめげることなくこれだけ密度のある作品を仕上げた努力に感服する。
Tabata |
作業手順の複雑な作品をうまくシステム化して取り組めたと思う。
それだけたくさんの作品を作り上げた、ということになる。
柔らかい状態での生化粧もかなり難しかったに違いない。
天候に配慮しながらの作業になった。
最初にイメージされたできあがりよりも、うまくいった感がある。
掻き落としの模様とあいまって土もの独特の暖かさを感じさせる作品になった。
Hujisaki |
この形と大きさの皿を揃えるのは、かなりたいへんだ。
ちょっとした傾きで印象がずいぶん違ってしまうからだ。
そのためにかなりの数の皿をひいてもらった。
イッチンの手法を使って釉彩で模様を描くことが難易度をさらに上げた。
釉上に描くため、釉彩の線が溶けて広がってしまうのだ。
なかなか細い線がとれずに苦労した。この作品の完成で一つの独特な技術が習得できた。