メンバーと作品紹介と講評




佐藤(E-3)

テーマ    磁器の大皿・染め付け
とにかくよくやった、の一言に尽きる。
磁器の大皿を完全にろくろの手びきで作ること
自体、プロの陶芸家でも簡単ではない。
亀裂が入ってもめげない強い精神力が必要だ。
たくさんの数を作ることで、うまくなっていく最大の
ものは、土練かもしれない。
きちんと土が練れていれば、亀裂が入らずに
削り終わることができるからだ。
40枚近くの皿をろくろ引きした努力に拍手を送りたい。
今後はより完成度の高い作品作りを目指してほしい。


伊東(E-8)

テーマ 陶器の大壷 抽象性のある
     装飾
ろくろやその他の作陶に関する技術的なものは、あるレベル以上に達している人なだけに、
さらに高度なものを求めるとすれば、より個性的なものに向かわざるを得ない。
今回は、装飾に芸術的なセンスを求めて努力してもらった。
かなりてこずったようだが、まずまずの成果を出していると思う。
今後、さらにまとまりのあるものにしていってほしい。


入江(E-2)

テーマ   陶器の大皿・白化粧・染め付け
土物の大皿で、できるだけ大きな物を要求してきた。
たくさんの土をもむことはかなり大変だったと思うが、
よくこなしてくれた。
彼女には装飾に重点を置いて、作品作りをして
もらった。
好きなブルーの色を主体にしながら、独特な雰囲気
のものに仕上がった。
釉薬の色のコントロールにかなり苦労したが、
最終的にはうまくいった。
今後は、より細かいところに気を配って、
この技法を確立していってもらいたい。


篠塚(E-5)

テーマ   磁器・食器・窓抜き・染付け
ほぼ、一年がかりで磁器の素材と取り組んだ。
彼女に求めたのは、素材が持つ清潔感を押し出した
作品作りだ。
そのためにかなり難しい、釉薬の二度掛けをして
もらった。
電気窯の熱線切れ、という思わぬハプニングにより、
かなりの数、歪んだり釉薬が流れたりしたものが
あったが、ねらいどおりの透明感のある作品が
仕上がった。貫入に関しても、もう少しゆっくりと窯
の温度を下げていけば防げるに違いない。
今後、再挑戦して完全なものにしていってほしい。


川島(E-5)

テーマ  陶器の大壷・生化粧・上絵
女性でこの大きさの壷を引き上げたのは、当工房
では始めてではないだろうか?
徐々に土を増やしていき、最終的には8kgの土を
使った。これも正確な筒の引き上げができたからだ。
ろくろの技術もここまでくればかなりの爽快感がある
だろう。
装飾に関しても、白化粧に上絵という、しっかりした
スケッチがないとできないものを選んでもらった。
なかなか迫力のある作品が出来上がった。
今後は、胴の張った、丸い壷にも挑戦していって
ほしい。


カマガタ(E-5)

テーマ   陶器の丸い壷・ろう抜き
装飾に関しては最後まで、スタッフとの意見が
食い違った。
最終的にコンプレッサーでの釉薬の組み合わせで
了解してもらったが、時間的にもう少し余裕がほし
かった。釉薬の濃淡はうまくいった気がする。
特に灰釉の組み合わせで土物らしい魅力のある
作品に仕上がった。
ろくろの技術は飛躍的に上達した。
今後は、この展覧会を出発点として、装飾に
力を入れていってほしい。


関(E-5)

テーマ   磁器のジキロウ・赤地金彩
昨年の展覧会出品作の重箱と同様、難易度の高い磁器での蓋物。
それが彼女の高い技術力によって、完成度のある作品として出来上がった。
アマチュアとしては、あまり踏み込まない領域であるだけに、やりがいがあった。
今後、どのように展開していくかは未知数だが、大きな期待が持てる。
積極的に公募展などに参加しながら、作品の密度を上げていってほしい。